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梅原猛『哲学する心』を読んで。哲学とは何か。日本とは何か。

書評と解説

最近本を整理している。引っ越しのためだ。

韓国から日本への引っ越し。

最も費用がかかるのが、本の重さによる、費用がかさばるという点。

そして最もつらいのが、本を捨てるという行為。

本とにらめっこしながら、ふと手に取った「文庫本」

梅原猛の「哲学する心」が目に入った。

ぱらぱらとめくりながら、以前線引きいしたところを辿る。

そして、数年経って、色々なことを経験するなかで、目にとまったことがある。

それが、「娯楽」ということと、「仏教」ということだ。

私はこのブログでは知的余生と題して記事を書いているのだが、

この「娯楽」いわゆる学問を趣味として生きる方法、

そして、「日本とはどんな国なのか」をテーマにしているから、

私にとって今最も必要な内容であった。

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哲学の意味

梅原猛はいう。哲学とは余暇と関係をもたなければならない。いわゆる「余暇の哲学」と題している。哲学といえば難しい、教理や生き方などを連想しがちであるが、

実は、日常の中に哲学があった。それが、余暇である。余暇が増えれば、文化的な活動が増えるというのである。

私がこのテーマの中で最も気に留めたのが、

「日常」と「非現実」であった。非現実の中に入る。それが、余暇なのである。

余暇生活が単なる趣味ではない。

これが、人間にとって必要な活力となり、非現実の世界へと誘う。

彼は言う。

 ”精神を肉体から離し、精神の介在なしに肉体の喜びだけを味わう。”

日常の生活からの断絶がそこにあるという。

我々が趣味や娯楽を持たなければならない理由がここにありそうだ。

私は旅をして、絵画を楽しみ、読書をする。そのときの感覚は、確かに別の世界に入っている。日常ではない、別の世界に入り込んでいることがある。

現実と非現実を交互に繰り返しながら、生きていく。趣味や娯楽の中に、我々の無意識の世界があるとしたら、梅原の指摘は卓見である。

彼は「遊び」ということも指摘している。遊びとは子供のままごとだけの問題として片づけてはならない。

遊んでばかりいないで、勉強や仕事をしろ。と叱責されそうであるが、我々はもっと、「遊ばなければならない」のではないだろうか。

旅をし、ドライブをし、カフェでおしいものを飲み、映画を見、料理をする。そんなところから、自分の本来の姿を発見できるのではないか。

日本とは何か。

もう一つ、彼の指摘の中で、日本を発見することを「仏教」求めているところに、非常に共鳴した。

というのは、今までは「日本」を知るには、我々固有の宗教である、「神道」を知ることが必要だと思い、それにとらわれていた自分がいた。そして、

私は「本居宣長」という人物にであった。彼は、

日本を知るためには、「漢心」を取り去らい、真心を見つけていかなければならない。

特に外来の仏教、儒教は偽善であり、取り除いてものごとを見なければならないと主張した。

ただ、そうあっても、どうしても、仏教は日本の文化の中に根を下ろしている。私は韓国で生活しながら、韓国も仏教の影響はとてつもないと思っていた。が

日本はそれと同じように、いやそれ以上に仏教が根を下ろして、今でも我々の心や精神面に影響を与えている。

外来の文化を取り除くと、日本のアイデンティティーは残るのだろうか。と思うほどであった。

梅原は言う。心に宿る大生命だと。確かに、日本人は大いなる命を自然と同時に、人間の中にも感じている。

遠い神という存在よりも、身近であり、どこか、触れ合うことのできる、親近感のある存在であった。

そのことを説明するのに役立ったのが「仏教」ではなかったか。

そして、日本人は「茶道」というものを体系づけた。

茶道の中に、娯楽(人との交流)、自然との交流、そして精神世界の探求をまとめ上げたのではないか。

茶道そして茶室の中で、非現実的な世界に浸りながら、人々は娯楽と哲学を結びつけたのである。

”茶は単なる食物と違って、日常的な卑近(ひきん)な物質性を離れさせる精神性をもっている。”

と述べている。

最近私は韓国である同好会のメンバーにこの茶の湯を見せながら、日本文化を体をもって見せた。韓国はお酒が人と人を結ぶ媒体であった。

日本人であることを見せる一つの方法として

茶道を見せることを提案したい。専門的でなく、完璧でなくてもいい。

国際交流がどこでもできる。

しかし、それだけの目的ではない。

我々が、「お茶」「茶道」を通して、自らが日本がたどってきた精神世界を味わい、そして追体験していくことが大切だと思うのである。

先人たちが作ってきた娯楽の極意を味わうことができそうである。

ぜひ、「哲学する心」一読を勧めたい。

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