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おすすめの日本仏教史:阿満利麿氏『法然を読む』日本人を知るために欠かせない一冊。日本人はどのように宗教と付き合ってきたのか。

書評と解説

「日本人とはどんな民族なのか」をテーマにこのブログを立ち上げた。

論文でも研究書籍ではない。

それでも、日本を理解するために共有する場を設けいた、その一心で書き綴っている。

50歳を過ぎて、何をするか。

知的余生

これが一つの選択肢である。

その知的余生をするための方法は読書にほからなない。

そこで私なりに勧めたい分野は日本人なら「仏教」「神道」ではないだろうか。

特に仏教史。これをしることで、日本人はどうやって宗教に触れ、それを消化していったがわかる。

今日はこのこと悟ることができた著書と書籍を紹介したい。

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阿満利麿氏との出会い

数年前ある疑問に悩んでいた。それは日本人の宗教とはなんぞや。である。

私は海外にいる時間が多かった。海外にでると、はっきりこの国はこの宗教が主流だということが

街をあるけばだいたいわかる。

カトリック、プロテスタント、仏教、イスラム教といった具合である。

日本は街を歩いても、それが目につかない。京都や奈良へ行けば寺院はたくさんある。

しかし、これは観光のために出入りすることが多い。実際どれだけ寺院に通い、信者となっているかは疑問である。

神社も同じではないか。初詣、七五三、成人式といった年中行事には足を運ぶが、かといって、神道の熱心な信者かというと首をかしげたくなる。

そんなとき、阿満利麿氏の本に出合った。『日本人はなぜ無宗教なのか』であった。著者は言う。日本人は無宗教ですというが、すでに日々の生活の中で、先祖を敬い、初詣に行き、お盆を大切にすること、これが日本人の宗教心であると。

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このことはその当時私には新鮮で納得のいく内容だった。そして 阿満利麿氏の書籍をいくつか読んでいくうちに、法然に出会うのである。

法然との出会い

法然は日本の浄土宗を開いた開祖である。それはそれとして、法然をしる道しるべは他にあった。本居宣長の家の宗教がそれだった。

宣長も幼いころ、この浄土宗に信仰を持ち始める。家の宗教だからということもあるだろう。

後に彼の古学はこの浄土宗で培った信仰が影響しているという研究もある。宣長の古学には

「凡人(ただびと)」という概念がある。神の前にわれわれはなすすべはない。すべて神のみしわざに身を任せるのである。これが日本人が神を信奉してきた歴史であり、これによって日本人の「真心」が浮き彫りにされていく。「漢心(からごころ)」を捨てなければならない。

これらの思想的な共通点として、法然も我々が「凡人」「凡夫」であることを自覚せよ、と述べる。

だれもが、高尚な信仰をもち、苦行し、仏になることはできないかもしれない。

それならば、だれもが実践できる、凡人が実践できる方便を探すことが大切だ。それが

念仏三昧の生活となる。念仏を唱えることで、だれもが仏になることができる。庶民でも、武士でも、身分に関係なくみなが、仏の道を歩むことができる。

私はそのことを知って、法然のすばらしさと同時に、日本人の信仰のありようを見出した、方法論に感銘した。たしかに信仰は持つことがだれもができる。しかし、敷居が高いのも事実だ。

中世では貴族やある程度の財政力がなけらば、寺院や仏像を手にいれることはできなかった。

法然は考えたのだろう。生活の中に宗教生活をとりいれればいいのだと。

日本人はこのような先人のおかげで、教会や寺院にいかなくても、すでに生活の中で、宗教生活を行っているのである。

日本人は人に親切にする、道にごみを捨てない、秩序は守る。など、海外に住んでいると、日本人は生活の中で教理を実践しているのではないかと見える。

日本人が宗教を知るとき

日本人はこのような鎌倉仏教のおかげで、庶民が「神」「仏」を習合させながら、生活の中で自然と仏道を行うことができるようになっていった。

そして究極は「あの世」、つまり人の「生死」に関する哲学。仏教では輪廻。さらには穢れ。これらは死への恐怖となって我々を苦しめることもあった。

『法然を読む』を読むと、この穢れからの解放が法然の専修念仏によって自由に解放されたという。日本人は死んであの世に行くと、「仏になる」「仏様」と表現する。

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これは、死という不可解なものに対して、法然の専修念仏によって、人々が解放された証しであると述べるのである。

日本人は先祖が死んだ世界を常に拝みながら、思いをはせている。穢れの世界から、極楽浄土となった。よって、先祖崇拝やお墓まりは身近なものとなったのではないだろうか。

書籍のわかりやすさ

阿満利麿氏の『法然を読む』だけに限らず、『法然の衝撃』や『宗教の深層』をすすめたい。

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なぜか、

わかりやすさである。仏教はわかりづらいということがある。もちろん日本人が生活の中で、特に葬式では仏教式が行われるので、身近ではあるものの、深いところでは理解できていない。

それを、まず理解するのに、これらの書籍は役立つ。

そのわかりやすさと同時に、より深いところまで仏教史や仏教の本質を知ることができる。

簡単な入門書ではない。が、日本人がどのように仏教を信仰し、宗教を知るようになったのかがわかる。

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